『2022 全日本選手権』

こんにちは、だいゆーですよ。UDでもあります。

今年の全日本選手権も昨年に引き続き広島森林公園で行われた。

ご存知の通り、全日本選手権は普通のレースとは全く雰囲気の異なるレース。
畑中さんと元喜さんが他のキナン選手と少し違うデザインの、袖元に国旗をあしらっている通り、自転車レースでのナショナルチャンピオンというのは一回でも獲得したら生涯その証をあしらったジャージを着用することが許される。

誰もがなんとしてもほしいタイトル。

、、、
こんなにも書きたくないと思ったレポートブログは初めてかもしれない。
個人的には完璧だったと思うキナンのレース運びがあり、完璧な状態で迎えた最後のあの瞬間。

あの時の選択を僕は今後の競技人生で忘れることは絶対に無いだろう。

寝ようとしている時や、ふとした瞬間思い出す、、、、

作戦

去年は早い段階で逃げができてからはかなりゆるい展開でレースが進み、後半レースを仕掛けた時にはタイミングがすこし遅くて、自分達が思っているように集団の絞り込みができなかった。

なので今回は自分たちでも少し早いか？と思うようなタイミングでペースアップを始める作戦。
各チームのアシスト選手達を少しでも減らすことが目的。
そしてなるべく早い段階で各チームのエース級の選手たちを丸裸にして、勝負を仕掛ける。

キナンはゲンキさんマサキが調子が良さそう。
そして畑中さんもしっかり残れる様子。
僕はと言うと、正直ミーティングの段階では調子は良くなさそうと伝えるも、言うて残れるだろうということで、ゲンキさんマサキ畑中さんUDは最後の戦いに備える。

そして今回その絞り込みの部分でかなり大事になってくる動きが、なかじーさん、花田、小出の３名の動き。

なかじーさんには集団を捌いて貰って、場合によっては前半にできる逃げに入って貰うような動き。

小出は７周目、８周目、９周目での登り区間でのペースアップ。

花田は小出に同調する動きをしてもらい、９周目のペースアップをかなりキツイものにする役割。

なぜ７，８，９なのかと言うと、そこから残り１００kmくらいだから。

そしてなぜ登りだけかと言うと、アップダウン区間までコントロールみたいなことをすると自分達だけが消耗してしまう可能性があったから。
僕らのペースアップに便乗して他のチームが動いたりしてくれるならそれはそれで良し。

ジワジワを集団の体力を削ることが目的で、自分たちはできる限り消耗したくなかったのでこのような作戦になった。

大前提として、任される４名がタフである必要があるが、、、笑

レース

距離 15周 183km
天気 晴れ

さて。
ここからはどんどん思い出したくなくなる。
嫌でも目に焼き付いている光景。本当に、、、、

レースはパレード等はなくドンスタート。
スタートは少し緩めの展開。

国内のレースで見ると、距離が長い全日本特有のぬめ~とした始まり方。

キナンも作戦的にはまだ動く時ではないのでステイ。

アタックが散発的にかかり、一人？抜け出す。

ここも特に気にしない。
他チームがペースをあげてくれくれるならそれはそれで良し。

少し驚いたのが、チーム右京相模原がかなり早いタイミングでトレインを組んでペースアップを始めたこと。
ここでペースアップしてくれるならそれに便乗する。

小石さんから「キナンも一緒にペースあげない？」と提案があったから、一枚出してペースを上げても良いなと思ったが、一周半をコントロールした所でチーム右京のコントロールは終わったので、結局キナンは自分たちのタイミングを待つことに。

そして7周目。残り９周の看板をみてペースアップの周だと身構える。

小出の三段坂麓からのペースアップ。
想定していたよりも少しペースが早いが、ここまでの展開が緩かったのでむしろちょうど良い。

登り切って、下って平坦入ってペースアップ終わり。

ここで他チームのペースアップや攻撃を待つも、特にない。

幸也さんがタイミングタイミングでペースアップをしてないるが、ガンマークされているので、脱げ出すには至らない。

登りに入る前の区間で３名？逃げができる。
少し嫌だが人数も少ないことから、反応等はせずに次のペースアップのタイミングを待つ。

そして2回目のペースアップ。

ここもかなりいい感じで周りのリズム、ペースを崩せたのではないだろうか。

EFの選手たちも逃げを狙う動きをしてきていて、そこは反応はしていくがキナン的にはこのタイミングではガッツリ逃げていきたいタイミングではないので積極的に一緒に逃げることはしない。

そして一気に絞り込みたい３度目のペースアップ。
ここは小出と花田にかなり無理してもらう事になるが、彼らを信じて任せる。

で、三段坂の下から小出の強烈なペースアップ。
三段目入る所で小出は離脱して、花田にもう一段階ペースアップしてもらう。

二人共本当にいい仕事をしてくれたと思う。
ありがとう！！！

ここからは任された僕たちの仕事。

かなり絞られた集団だが、もっと絞って行きたい。

各チーム抜け出しを図るも動き的にはそんなに積極的ではなく、幸也さんの動きEFの選手たちの動きがかなり多かったように思う。

その動きに反応していくだけでもじわじわと消耗し、足に来る。

それに幸也さんが動くと周りの選手も絶対に動くので、その動きも集団にはボディーブローのように徐々に効いてきていて集団の人数は減っていく。

そんな中でもキナンは当初の作戦通り４名しっかり残せていた。

僕もキナンが乗っていない動きには反応したり、潰したりして動く。
後は、後手を踏んでしまわないようになるべく集団前方をキープしていつでも動ける態勢を崩さないように心がける。

チーム右京相模原の小石選手が残り4?3?周に入る手前の三段坂でアタックし、反応しよかと思うも距離がまだあったこと、一人だった事を考えて反応を見送ってしまった。

まだ集団も力がある様子はあったので、捕まるという想定。

そんな中、畑中さんと自分含む５名ちょいのかなり良い面子の逃げが登りで先行。
もちろん幸也さんもいた。

がしかし、この直前に動いていたこともあって三段坂三段目での幸也さんのペースアップで足が攣りかける。後ちょっとで登りを超えられるのに、、、、
本当にやばいと感じるも、完全に攣ってしまってはそれこそ本当に終わりなので完全に逝く前にドロップ、、、

もうかなり数を減らした集団にジョイン。

幸いキナンは最悪な状況ではない。
もう数えるほどしかいない集団にはキナンは３人いるし、逃げにも畑中さんが乗っている。

パターン的にはかなりありで、最終局面スプリントをするような状況ではやはり畑中さんに絞った作戦にするつもりではあったから。

しかしそう簡単にいかないのが全日本選手権。

ここでタイムトライアルで優勝した話題の選手、金子選手の強烈な牽引が始まる。
先頭交代を要求してくるも、申し訳ないが引けないので下がっていると牽引が始まった。ほぼ一人で前をキャッチ。

前は前で畑中さんの動きもあり、かなりギクシャクしてペースが上がって居なかったみたいだが、それにしても金子選手は強い。

そしてそんなやりとりが続き、１４周目の三段坂を超えた後にマサキのアタック。

誰も反応できずに独走。

この時UDは集団先頭。
ペースを落とす。

これは、、誰かアタックしそう、、、と雰囲気を感じていたところに、後ろから悲鳴に似た畑中さんの叫び声が。
チラッと後方を確認すると、幸也さんがもがき始めている。

ここは何も考えずに先頭で合わせて加速。

速度差があったので着くのに若干きつかったが、何とかチェック。

他チームも自分にくっついて来るかと思いきや、反応したのは自分だけで、幸也さんと二人でラスト一周の鐘を聞いた。

マサキが逃げているのでもちろん引くことはない。

だが、アップダウン区間でのペースアップ等がかなり堪える、、、

このペースだと、恐らくマサキは捕まり、幸也さんと自分の勝負になるだろう。
最後の鬼門、三段坂ではなんとしても耐えなければならない。

本当に沢山の事を幸也さんの背中を見ながら考えた。
レース中に、更に言うともうすぐゴールというこの場面で、沖縄人２人での戦い、僕の恩師でもある幸也さんのお父さんが会場に応援に来ている、このレースで、恩師の前でこんなレースができる事は本当に、、、

最後の三段坂でマサキを捉える。

ここでのペースアップ、本当にきつかった。
マサキがこんなにも最高な動きをしてくれたのに遅れるわけにはいかないし、自分の成績を度外視でチームのために動いてくれた若手にも示しがつかない。
ギリギリの状態で何とかパス。

後はほぼ平坦。

スプリントだ。

この瞬間の事は今後の選手人生で忘れる事はない。
言葉通りの意味で、負けた事も。
スプリントで刺された事も。
もっと色々と上手く立ち回れるはずだった事も。

多分あの瞬間、僕が選手としてもっと成熟していればもっと違う結果が待って居た…かもしれない。そう思うと悔しくて、もやもや。

一人で国内チームの選手達を相手どった新城幸也選手はやはり強かった。

感想

５年前の全日本選手権。

ゲンキさんが優勝した時、僕は３位だった。

本当にすべてを出して遅れて負けたのでレースが終わっても３位という結果に喜べる自分がいた。

しかし順位が一つ上がった今回。
喜びは少しも無い。

沢山の後悔と反省が頭を巡っている。

思い出したくないけど思い出す。

タラレバ話、、、仕方の無い話の意味として使われるけれど、僕はそうは思わない。
たら、れば。そこを修正していくことで成長すると信じてます。

次は勝てるようにまた頑張ります。

そんな複雑な感情な中、応援してくれているファンの皆様からの、

「感動した！」「震えた！」「しびれた！」「かっこよかった！」「鳥肌がたった！」

こんな言葉の数々がまだ次があると思わせて貰えて、「ああ、スポーツ選手ってこういうことなんだなぁ」と本当に嬉しく思った。

今回の全日本選手権、チームには色々と無理を言って、最高な状態で望ませて貰えました。
監督、メカ、マッサー、本当に万全なサポートありがとうございました。

そして炎天下な中、沢山の応援をしてくださった皆様、画面越しに声を出して応援してくださった皆様、ありがとうございました！！！

全日本は来年リベンジます。

個人的に次はツールド沖縄を狙います。

前半戦はこれで終わりですが、後半戦はすぐ始まり、レースが続きます。
後半戦もぜひキナンの活躍から目を話さないようにお願いします！！

ではではまた。